心身医学
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シンポジウム 心身医学とフィールド医学―生態学的視点から健康長寿を探る―
医療人類学からみたフィールド医学の意義
辻内 琢也
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2019 年 59 巻 4 号 p. 337-344

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抄録

本稿では, 医療人類学の立場から 「フィールド医学」 の意義について述べた. わが国は大勢の外国人が居住する時代に突入した. フィールド医学は, 国外の国際保健の場だけでなく, 国内の日常の臨床場面に必要となってくるものだと考えられる. 世界各地の文化を背負った人々と, 友好な関係を築き, 適切な保健医療福祉を提供するためには, 「カルチュラル・コンピテンス=文化を理解し対処する能力」 が必要不可欠である. そのためにも, 私たちに内在している 「自民族中心主義」 を脱却し, 積極的に 「文化相対主義」 を身につけていくことが求められる. 今後, 私たちは調査研究を被験者や被調査者とともに協働して行っていく道を模索すべきであろう. そういう意味で, 本シンポジウムにおける発表者らの, ブータンにおける坂本氏の活動, ラダックにおける石川氏の活動, 東日本大震災の現場や埼玉県における岩垣氏の活動は, 先駆的なものだといえるだろう.

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© 2019 一般社団法人 日本心身医学会
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