2019 年 59 巻 5 号 p. 443-448
2018年4月より新専門医制度による総合診療専門医の育成が始まった. 専攻医が獲得を目指す7つの資質・能力の1つに 「患者中心の医療・ケア」 が示されている. 心身医学の知識やスキルを活かすことができる領域であるが, 総合診療部門に心身医学が浸透しているとはいえない. 関西医科大学附属病院総合診療科 (以下, 当科) は同大学心療内科学講座に属し, 心療内科医が総合診療外来を担当している. 当科受診患者の25~35%は専門診療科が定まらない機能的疾患で, 心身症に該当する割合が高い. 従来の診療では対応に難渋することも多いが, 当科では早期に診断・治療が行われ, 終結に至る症例も少なくない. 総合診療科と心療内科が協働するためには, 互いを理解し, 両者の長所短所を補完し合うことが求められ, その機会を設けることが重要と考える. 本稿では総合診療専門研修, わが国の大学病院総合診療部門の現状に触れ, 心療内科学講座に属する総合診療科が果たせる役割について, 私見をまじえて述べる.