2019 年 59 巻 7 号 p. 623-627
身体疾患が心身症の病態をとっているか検討するには, 疾患と心理社会的因子のそれぞれの経過が経時的に関連しているか吟味する必要がある. しかしながら, 心理社会的因子には患者報告型アウトカム (patient reported outcome : PRO) が多く, 一般に用いられる想起に基づく評価ではrecall biasの存在が懸念される. 主にPROの評価に用いられるecological momentary assessment (EMA) は, recall biasを避け生態学的妥当性が高く, 経時的評価に重要な時間軸も正確であり, 上記のような比較的短時間の心身相関評価に有利であると推定される. 筆者らのグループではこれまでEMAを利用し, 心理的ストレスと緊張型頭痛の急性増悪の関連や, 緊張型頭痛と身体活動の関連などを示してきた. また最近では抑うつ気分と行動パターンの関連から, 身体活動度データによる抑うつ気分の推定を試みた. このようにEMAを含む日常生活下調査は心身医学的病態理解につながるとともに, 今後期待される日常生活下での適応的介入に資する知見を提供できると考えられる.