2019 年 59 巻 7 号 p. 628-633
日常生活の心理・身体症状などを, スマートフォンなどの電子機器を用いて, その場でそのときに記録する評価手法がecological momentary assessment (EMA) である. 情報通信技術の発展に伴い, 睡眠や運動などさまざまな健康関連データが取得できるようになる中, EMAを使用した研究では, 得られた膨大なデータの中からいかに有用な情報を抜き出すかが1つの大きな課題となっている. 本稿では, EMA研究の1例として, 筆者らが実施した育児期の母親のメンタルヘルス動態に関する研究を, その解析手法と合わせて紹介する. 今後, 個人の健康関連データの記録から健康行動につながる介入を行うなど, 健康/医療分野などへの応用が進むことが予測される. データ処理や解析手法の課題だけではなく, 有効な介入に向けた行動学的課題, 倫理的・法的なセキュリティの課題など, 分野を超えた諸問題の解決が必要である.