2019 年 59 巻 7 号 p. 642-651
ベンゾジアゼピン (BZ) 系睡眠薬は, せん妄や転倒の危険性が報告されているが, 入院中のがん患者を対象に非BZ系睡眠薬の危険性を調査した報告は見受けられない. 本研究は, 入院中のがん患者を対象に, さまざまな睡眠薬がせん妄の発症や転倒の発生に与える影響について後ろ向きに調査した. 当院で2014年7月〜2016年6月までに入院し, 適格基準を満たした592名が対象となった. 主要評価項目はせん妄の発症, 副次評価項目は転倒の発生とし, 多変量解析を行った. 結果はせん妄の発症とPerformance Status (PS) (p<0.001), 転倒の発生とPS (p=0.015) の間に有意な差を認めた. BZ系睡眠薬群と比較し非BZ系睡眠薬群でせん妄, 転倒の発生に有意な差は認めなかった. 今後は, 薬剤の種類よりも患者のPSの改善に努めることがせん妄, 転倒対策に重要ではないかと考える.