心身医学
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特集 心身症再考—7 holy diseasesを超えて—
消化器領域の心身症再考
奥見 裕邦
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2020 年 60 巻 2 号 p. 125-130

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抄録

名著『心身医学』出版後半世紀以上が経ち, 心身医学分野で扱う内科的疾患は, 薬剤や検査法などの技術的発展も重なり, 大きく様変わりしている. 消化器疾患についてつぶさにみていくと, 胃病変では消化性潰瘍から機能性ディスペプシアへ中心が移っているが, 病態仮説として粘膜の微小炎症とストレス, さらにヘリコバクター・ピロリ菌, さらに代謝疾患などの慢性疾患の合併などにより, ヘリコバクター・ピロリ関連ディスペプシアや胃麻痺などの病態も脚光を浴びつつある. また食道病変でも胃食道逆流症において, 難治性疾患として逆流性食道知覚過敏や機能性胸焼け, さらに機能性食道病変の指標の1つであるシカゴ分類によりアカラシア以外に, いくつかの機能性病変が定義づけされている. 一方下部消化管病変では, 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患から, 過敏性腸症候群や機能性下痢, 機能性便秘, さらに骨盤底筋群の機能不全による, 協調不全性排便や骨盤底機能障害など泌尿生殖器系とも関連した病変が指摘されている. 今後心身医学分野で, どういった疾患が取り扱われるべきか, その傾向を探る.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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