心身医学
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原著
大学生における心配に関するメタ認知的信念と入眠困難との関連
—認知的覚醒を媒介とした検討—
原 真太郎山本 隆一郎田中 圭介野村 忍
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2020 年 60 巻 3 号 p. 241-248

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抄録

本研究の目的は, 心配に関するメタ認知的信念が認知的覚醒を媒介し, 入眠困難と関連するという媒介モデルを検討することであった. 大学生を対象に質問紙調査を実施し, 414名の回答が得られた. このうち, 379名 (男性155名, 女性224名, 平均年齢20.21歳, SD=1.88歳) の有効回答が分析対象であった. 媒介分析の結果, ネガティブなメタ認知的信念は認知的覚醒を媒介し, 入眠困難と関連するという有意な間接効果が認められた (β=0.18, 95%confidence interval〔CI〕 : 0.12, 0.25, p<0.01). 一方, ポジティブなメタ認知的信念は入眠困難と関連するという有意な総合効果は確認されなかった (β=−0.02, 95%CI : −0.12, 0.08, p=0.66). 本研究より, 入眠困難の支援を講じるうえでは, 心配することに対する制御困難感や否定的な考え方の構えであるネガティブなメタ認知的信念を介入標的とすることが有効である可能性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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