2020 年 60 巻 8 号 p. 664-668
肩こりや腰痛は日本人の国民病といえるほど多くの患者がいる. この中には心身のストレス関連症を合併している筋筋膜性疼痛症候群の患者層も相当数いる. 近年, トリガーポイントの概念が単なるこりの点としてではなく, 筋膜に存在する過敏化した侵害受容器であることが知られてきた. トリガーポイントが多数存在して活動的となっている筋膜は, 超音波ガイド下に肥厚し白く重積して映し出される. この筋膜を注射液ではがす筋膜リリースは筋筋膜性疼痛に有効性が高く, 心身症を背景とした身体感覚の過敏性が高い場合や逆に感覚鈍麻になった症例への応用も期待できる. 心身医療での活用のために筋膜リリースの基本手技について概説する.