認知行動療法 (CBT) はその誕生以来約半世紀以上を経て, 大きな進歩を遂げ, わが国においても, 医療や教育, 発達支援, 福祉, 司法といったさまざまな文脈で, さまざまな疾患や問題を対象とした心理社会的治療法の第一選択肢として適用されるようになった. しかしながら, 普及とともに, CBTの原理原則が十分に理解されないまま形式的に適用することで, その効果を十分に享受できないことも見受けられる. そこで本稿では, 協働的経験主義, 行動原理といったCBTの基本概念を整理し, 心身医学の現場でCBTを実践するときの留意点を指摘した.