肥満は, 発症および経過にさまざまな心理社会的因子が関わる, 代表的な 「心身症」 である. 肥満に対してはこれまで行動療法を含むさまざまな治療が試みられてきたが, 治療からの脱落や減量した体重の維持が大きな問題となっている. 治療からの脱落や減量した体重の維持に影響を及ぼす肥満患者に特有の認知的特性が明らかになってきており, 肥満に対する認知行動療法 (personalized cognitive-behavioral therapy for obesity : CBT-OB) が注目されている. また, 最近では肥満に対するスティグマの話題が, 医療の世界を超えた社会問題となっており, 患者の医学的アウトカムとの関連も明らかになってきている. このような背景から, 今後肥満治療に対する心身医学の役割はますます大きくなっていくものと考えられる.