糖尿病の療養指導も問題解決型思考で行われることが多い.つまり「高血糖が持続することにより将来の合併症発生リスクが高まる(問題がある),だから今の生活を望ましい方向に変えましょう(解決行動を促す)」という論理である.しかし,一部にはそれだけでは前進しないこともある.糖尿病罹患による対象喪失体験という心理的課題を抱えたり,治療指標の達成の先にある生活目標にフォーカスしないとモチベーションが維持しにくいことがある場合,カウンセリングマインドやコーチングを活用したかかわり方を柔軟に選択することが望ましい.
医療従事者にとって,コミュニケーション技術を実践的に学ぶ場は希少であり,各自が試行錯誤している.そこで「わくわく健康マップ」というヒアリングシートを開発した.これは面談のガイドマップで,生活習慣(生活基盤)や本人の生活の喜びを聞き取りながら,自己肯定感を高めるというエンパワーメントにフォーカスした対話を支援する.