2023 年 63 巻 4 号 p. 363-375
目的:HIV感染症の長期療養化に伴い,睡眠障害のコントロールは重要な課題である.本研究ではHIV陽性者と陰性者の睡眠障害率の差を調査するとともに,HIV陽性者の睡眠障害の評価方法,およびうつの有病率について調査することを目的とした. 方法:HIV陽性者と陰性者の睡眠障害を比較した先行研究を検索し,採用基準を満たした文献を対象にメタ解析を実施した. 結果:HIV陽性者は陰性者と比較し有意に睡眠障害の有病率が高いことが示されるとともに,うつの有病率が高いことが示された.また,ピッツバーグ睡眠質問票が最も多くの研究で使用されていた. 考察:HIV臨床においては,睡眠障害およびうつのスクリーニングと治療を視野に入れる必要があると推察した.そのため,精神科や心療内科を含めたチーム医療体制を構築することが望まれる.