心身医学
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シンポジウム:中枢性感作
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と中枢性感作
大谷 真
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2024 年 64 巻 5 号 p. 424-429

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抄録

筋痛性脳脊髄炎(myalgic encephalomyelitis:ME)は,慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome:CFS)と呼ばれてきたが,最近は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と両名併記されることが多い.主な症状は,身体および精神両方の激しい疲労と,それに伴い日常生活が著しく阻害されることである.これに発熱が加わる.発症原因や病気のメカニズムはまだ解明されておらず,治療法も確立されていない.中枢性感作(central sensitization:CS)は,中枢神経系における痛覚過敏を誘発する神経信号の拡大と定義される.CSは刺激に対する反応性の増大だけでなく,中枢からの疼痛抑制機構の機能低下を引き起こし,痛覚過敏やアロディニアの誘発,うつ症状や睡眠障害などと関連することが知られている.本稿ではME/CFSおよびCSを概説し,関連について考察する.

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© 2024 一般社団法人 日本心身医学会
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