起立性調節障害(orthostatic dysregulation:OD)は思春期に好発する自律神経系の代償的調節機構の破綻による疾患であり,生物学的機能障害と心理社会的関与による広いスペクトラムをもつ.そのため血圧の異常という一側面だけで治療することは,必ずしも患者にとって有用とはいえない.近年,国内外の研究により,背景疾患,併存症に関する新たな知見が増えている.Bio-psycho-socialモデルによる包括的なOD診療が広がることを願い,薬剤性,不登校の結果としてのODのほか,睡眠障害や遺伝性結合織疾患などの併存症について,筆者の私見とともに概説する.