抄録
我々の施設にて経皮的腎血管形成術 (percutaneous transluminal renal angioplasty: PTRA) を施行した小児の腎血管性高血圧症4例の臨床的検討を行った。このうち2例 (2歳男児および10歳女児) は血管病変を来たしうる基礎疾患はなくPTRA施行後は服薬の必要なく正常血圧が維持されている。高安病による13歳女児では,PTRAの効果は一時的で,現在,降圧剤投与や基礎疾患の治療で血圧をコントロールされている。モヤモヤ病に合併した5歳男児では,PTRA施行中,病変血管の攣縮により有意な拡張は得られなかったが,いずれの症例においても重篤な合併症はなかった。
以上よりPTRAは小児に対しても安全で,繰り返し施行でき,侵襲性が低いといった長所を考慮すれば,基礎疾患の有無に関わらず,積極的に試みる価値があると思われた。