抄録
小児期末期腎不全の原因として逆流性腎症は重要である。本症の病態として重要な尿の腎実質内逆流現象の診断法は確立されていなかった。今回われわれは,99mTc-diethylene-triamine-pentaacetic acid (DTPA) を膀胱内に注入することで膀胱尿管逆流現象にともなう腎実質内逆流現象を診断する方法を確立した。さらに,膀胱尿管逆流現象のある3症例に対して本法を施行した。本法は,腎盂-尿細管領域における尿流動態を検討する上で簡便かつ非侵襲的な方法であり,腎臓実質の各部位における腎実質内逆流現象を半定量的に測定かつ視覚化する方法として有用と思われた。