日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
RT-PCR・ダイレクトシークエンス法を用いたX連鎖型アルポート症候群の遺伝子診断
井上 祐司野口 茎子中西 浩一飯島 一誠中村 肇西尾 久英白川 卓西山 馨吉川 徳茂
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1998 年 11 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
 アルポート症候群の大部分はX連鎖型で,X染色体上に存在するIV型コラーゲンα5鎖遺伝子の変異によりおこると考えられている。これまでゲノムDNAを用いたPCR-SSCP法にて遺伝子解析が行われているが,変異の検出率は50%以下である。今回我々は末梢血白血球中のRNAを用いたnested RT-PCR・ダイレクトシークエンス法にてIV型コラーゲンα5鎖全遺伝子を解析した。対象は糸球体もしくは皮膚基底膜α5鎖蛋白の異常を認めたX連鎖型アルポート症候群22家系22例 (男児13例,女児9例)。結果,男児は13例中12例 (92%),女児は9例中7例 (78%) で病因と考えられる遺伝子変異がみつかり,全体の検出率は86%と高率であった。変異の内訳は,missense mutation 9例,deletion mutation 4例,nonsense mutation 3例,exon skipping 3例であった。結論として末梢血白血球を用いたnested RT-PCR・ダイレクトシークエンス法によるmRNAレベルでの遺伝子解析は,X連鎖型アルポート症候群の遺伝子診断法として高感度で実用的な方法と考える。
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© 1998 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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