日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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ISSN-L : 0915-2245
原著
血中サイトカインと肝細胞増殖因子の変動を検討し得たサルモネラ感染症に伴う急性腎不全の1症例
樋口 洋一錦井 友美松永 有美子木下 英一松本 正辻 芳郎下條 由紀冨増 邦夫
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1998 年 11 巻 2 号 p. 191-196

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抄録
 Salmonella enteritidisによる急性腸炎に併発した急性腎不全の12歳女児例を経験した。本症例は腸炎発症早期より頻回の下痢による脱水症と意識障害を認め,輸液治療により脱水症と意識障害は改善したが,腎機能低下と電解質異常が出現した。透析は必要とせず保存的治療により腎機能は改善したが,FENaや尿中β2ミクログロブリンなどの結果から腎性腎不全であったと考えられた。
 本症例において腎不全発症早期に血液中の腫瘍壊死因子α (TNF-α) とインターロイキン6 (IL-6) の上昇が見られ,感染症に伴う全身性の炎症反応が急性腎不全の発症に関与した可能性が考えられた。また腎不全後の組織再生に関与する血液中の肝細胞増殖因子 (HGF) も腎不全早期に上昇していた。
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© 1998 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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