日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
総説
小児腎臓病に対する学校検尿の功績: 小児IgA腎症を用いた定量的評価
清 保博久野 敏笹富 佳江竹林 茂夫
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 12 巻 1 号 p. 21-28

詳細
抄録
 学校検尿システムの功績を評価するために,これまでに当教室で診断されたIgA腎症 (IgAN) の生検時期を「79年以前」と「80年以降」に分けて比較検討した。対象は小児IgAN416例 (男/女: 240/176,生検時平均年齢: 12.2±2.8歳,5~15歳) の中で,生検から1年以上経過し予後の判明した196例を用いた (予後判明率47%,平均経過観察期間8.8年)。その結果,80年以降は79年以前に比して有意に予後良好であり (p=0.0092),腎不全のリスクはそれの約1/3であった [ハザード比: 79年以前,2.917 (vs 80年以降),p=0.0474]。学校検尿システムは,小児IgANの腎不全のリスクを1/3に軽減 したことが明らかとなった。結論として,小児IgANの予後の改善に貢献したことから,学校集団検尿システムは,九州・山口地区での小児医療の予防医学的役割を充分担っていると言える。
著者関連情報
© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top