日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
尿中落下尿細管細胞培養系の臨床応用
—CLCN5異常症の新しい診断法の確立—
森本 哲司千葉 明子根東 義明高橋 昌里五十嵐 隆永野 千代子飯沼 一宇
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1999 年 12 巻 2 号 p. 127-129

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抄録

 当研究室では,尿細管細胞の分化能を検討するために,ヒト尿中落下尿細管細胞の培養を行ってきた。その結果,これまでに確立されていた近位尿細管由来細胞のみならず,ヘンレの太い上行脚や集合尿細管由来と考えられる細胞クローンの単離に成功した。
 一方,近年,X染色体連鎖劣性遺伝形式のDent病,低リン血症性くる病,腎結石症および本邦における特発性尿細管性蛋白尿症患者において,クロライドチャネル遺伝子CLCN5の異常が数多く報告されてきた。
 今回,我々は主に腎臓に発現しているこの遺伝子の異常 (特に,microdeletionおよびsplicingの異常) を,尿中落下尿細管細胞培養系を用いて検出できないかを試みた結果,この培養系を用いてCLCN5異常症を診断しうることが証明できた。また,ラット同様にヒトCLC5が少なくとも近位尿細管細胞に存在していることも確かめられた。

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© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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