1999 年 12 巻 2 号 p. 159-163
急性骨髄性白血病に対しHLA一致の妹をドナーとして同種骨髄移植 (BMT) を行い,BMT 10ヵ月後に腎機能障害を呈した1男児例を経験した。骨髄移植後の腎障害は,移植成功例の増加に伴い近年問題となってきている。その原因として薬剤,放射線,感染,溶血性尿毒症症候群 (HUS),移植片対宿主病 (graft-versus-host disease, GVHD) などが報告されている。本例は臨床経過,腎組織所見などからCohenらによって提唱されたBMT nephropathyと診断し,その原因として免疫抑制剤 (シクロスポリンA,タクロリムス),放射線全身照射,GVHDなどの関与が考えられた。
BMTは腎障害を起しうる要因が多く,今後BMT後無病生存率上昇のために腎障害に対する対策の検討が必要と思われた。