日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
特発性尿細管性蛋白尿症の一家系
田中 里江子百井 亨
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2000 年 13 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
 診断時3歳の男児を発端者とするDent病の一家系を経験した。患児は3歳児検尿で蛋白尿を指摘され初診。尿蛋白 (++),セルロースアセテート膜電気泳動でαグロブリンが46.9%,SDS-PAGE法による分子量4万以下の蛋白が49.5%を占め,尿中BMGが37,602μg/lと著増していた。8歳時に患児と母の遺伝子検索を行いCLCN5遺伝子異常のホモ接合で母はヘテロ接合であった。診断後7年の経過で腎石灰化の出現,1日尿蛋白の増加を認め,進行性であると考えられた。 家系内検索で母方伯父と母の従兄弟を本症と診断した。彼らはそれぞれ3歳時,8歳時に腎炎で入院の既往があるが,それぞれ30歳,34歳時点で,蛋白尿は (+) 程度であり,成長障害も認めなかった。母方伯父は38歳で再度検査を行い,腎機能正常で患児よりはるかに軽度の腎石灰化を認めている。これらにより,同一遺伝子異常であっても臨床像には差があることが示唆された。
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© 2000 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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