抄録
血尿は腎泌尿器疾患診断の手がかりとなる重要な所見である。本邦では血尿評価法として尿を遠心分離し,沈渣を鏡検する沈渣法が一般的であるが,誤差の大きいことが指摘されている。そこで筆者らは,沈渣法の問題点の検討,および全自動尿中有形成分分析器・UF-100の有用性の評価を行った。対象は血尿を有する小児の早朝尿で,(1)遠心操作後の尿上清への赤血球残留率,(2)尿比重と沈渣赤血球数の関連,(3)沈渣法とUF-100の結果の比較,を行い,以下の結果を得た。(1)遠心後の尿上清に平均20.6%の赤血球が残留する,(2)低比重尿 (1.020未満) では沈渣赤血球数が低値となる,(3)UF-100はこれらの影響を受けず簡便かつ迅速に,精度の高い結果が得られる。
これらのことより,沈渣法による血尿の定量評価は限界があり,UF-100はこの点を改善し検尿の精度を高めるものと思われた。