抄録
IgA腎症におけるメサンギウム基質へのIgA沈着は,免疫複合体などの巨大分子化したIgAによるとされるが沈着機序についてはいまだ不明である。我々はこれまで,IgA腎症患者血清中にはフィブロネクチンカルボキシ末端S-S結合部を含む43kDaの断片化物が特異的に検出され,IgAとの親和性を有することを報告してきた。今回,IgAとカテプシンD処理フィブロネクチン断片化物との混合物が,細胞外基質産生モデルである培養線維芽細胞上でIgAの沈着物を作りうるかを検討した。その結果,IgA腎症に類似したIgAの沈着を見た。IgGを同様な系で検討するとIgAとは異なる細胞外基質線維束に沿った繊細な沈着をみ,これら免疫グロブリンの沈着はフィブロネクチン断片化物の細胞外基質への取り込みを介しうることが明らかとなった。IgA沈着に必要なフィブロネクチン断片化物は上述の43kDaを含むゲラチン非結合性,ヘパリン結合性の分画と考えられた。