2000 年 13 巻 2 号 p. 131-136
4歳時に全身性エリテマトーデス (以下SLEと略す) を発症し,その後まもなくループス腎炎を合併した10歳の難治性ループス腎炎の女児に対し,Mycophenolate Mofetil (以下MMFと略す) の投与を行った。投与前の尿蛋白11.6g/日,血清アルブミン2.4g/dl,血清C3c37.4mg/dl,抗dsDNA抗体38IU/mlと活動性が高かったが,MMF投与開始後3週後から尿蛋白が減少し始め,10週後には著明に減少し1g/日以下となった。C3cの正常化と,抗dsDNA抗体も陰性化しループス腎炎を始めとするSLEの血清学的活動性に対しても良好なコントロールを得るに至った。本例のような難治性ループス腎炎に対してMMFは今後考慮すべき薬剤の一つと考えられる。