日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
先天性ネフローゼ症候群4例の治療経験
里村 憲一山本 勝輔道上 敏美毛利 育子細川 尚三
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2000 年 13 巻 2 号 p. 139-144

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抄録

 先天性ネフローゼ症候群 (CNS) を4例経験した。中心静脈カテーテル (CVC) からアルブミン補給を行いながら3~4カ月で片腎摘出を行い,離乳が完了する1歳頃に残腎を摘出して腹膜透析 (PD) に移行し,5歳頃に腎移植を行う方針で治療を行った。1例は感染症で死亡したが,他の3例は予定通り腎移植を行うことができた。CVC留置ののべ総日数は1,782日間で,カテーテル感染症を計10回認めた。PDののべ総日数は4,927日間で腹膜炎を計4回認めた。カテーテル留置にともなう血栓形成による中・大血管の閉塞は認めなかった。現在では発達の遅れはなく,身長もやや小柄であるが全員-2SD以内である。従来は,予後不良とされていたCNS患児でも,精神や身体発育に大きな遅れもなく治療し得たので報告する。

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© 2000 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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