日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
多彩な症状を呈したアレルギー性紫斑病の1例
住本 真一葭井 操雄西村 実保新居 正甫
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 14 巻 1 号 p. 33-37

詳細
抄録

 われわれは,多彩な症状を呈したアレルギー性紫斑病の9歳,女児例を経験した。患児は,両下肢の紫斑と足部の関節炎を主訴に当科に紹介入院となった。入院後,紫斑と関節炎はしだいに軽快したが,上部消化管出血と出血性膀胱炎を合併し,イレウスと鮮血便を伴い,上半身の著明な皮下浮腫が出現した。また血胸による呼吸困難を併発したが,静注のステロイド剤の投与により,上記の症状は軽快した。しかし,しかし,多発性の尿路結石と水腎症とネフローゼ化した腎炎を併発した。ステロイドの大量内服により,しだいに蛋白尿が消失し,腎機能低下も認めず,約半年後にステロイドを中止できた。後日施行した腎生検では,光顕で糸球体にメサンギウム細胞の増殖は認めるものの,半月体形成も硬化像も認めなかった。現在,発症約2年であるが,ジピリダモール内服のみで一般状態は良好で,微少血尿 (-~1+) と結石を左腎盂に1つ認めるのみである。

著者関連情報
© 2001 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top