日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
29年間の観察期間中に臨床的・病理学的に改善を示したDense Deposit Disease (DDD) の1症例
新居見 和彦津留 徳井手 健
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2001 年 14 巻 1 号 p. 39-43

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抄録
 1965年Westらの低補体性腎炎報告後,Cameronらが1970年に持続性低補体血症を伴う腎炎にMPGNの名称を提唱した。1977年,WHOにてMPGN type IIをDense Deposit Disease (DDD) として分類された。DDDに関しては多くの報告がなされてきたが,25年以上の長期間にわたり,臨床的・病理学的検討がなされた報告は少ない。今回我々は29年に渡り経過観察し,臨床的にも組織学的にも改善した症例を経験したので報告した。症例は女児。1972年 (6歳時) に肉眼的血尿・ネフローゼ症候群で発症し経過中に低補体血症を呈し,1981年に腎組織学的にDDDと診断した。Prednisolone隔日療法などを行い,現在臨床症状はなく,尿・血液検査にても完全寛解状態である。1976~1992年までに4度腎生検を行い,4回目の腎生検光顕所見にて増殖所見の改善と電顕像にてintramembranous depositの “dropping off” と新たな基底膜を認めた。
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© 2001 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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