抄録
シクロスポリンは移植,ネフローゼ症候群等に広く使用されている免疫抑制剤である。投与に際しては,個体差,有効域の問題などから血中濃度モニタリングが必須とされてきた。ただし,従来の製剤では吸収の不安定さ等の問題があったためmicro-emulsion pre-concentrate (MEPC) 製剤が開発され,モニタリング方法,その設定値について様々な検討が行われている。本稿では,従来の製剤とMEPC製剤の比較,移植におけるモニタリングの報告例について概説する。さらに自験例における頻回再発型ネフローゼ症候群での検討を基に,シクロスポリンの血中濃度モニタリングの意義について述べる。