抄録
近年様々な病態に血液浄化療法が応用されるようになってきている。
我々の施設では2000年4月より小児腎臓内科医が主体となり,血漿交換療法や持続濾過透析を中心に血液浄化療法を実施し,これまでにのべ14症例を経験した。全身性炎症反応症候群4例,自己免疫疾患の急性増悪3例,重症肝不全2例,慢性腎不全の急性増悪,溺水,溶血性尿毒症症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,ABO不適合生体肝移植の術前処置,各1例であった。
これらの経験から,体重10kg未満の小児でもブラッドアクセスの工夫や回路のプライミング,施行中の鎮静やモニタリングを適切に行うことで十分に効果を得ることができると考えた。
しかし,従来の小児科病棟内で血液浄化療法を行うことは,スタッフにも過大なストレスを強いることになり,特に救命処置の一環として実施する場合には小児ICUの確立が不可欠であると思われる。