抄録
第1 報にて提案した試算法I は輸送距離が直線距離と同等であるとの仮定に基づいている。試算法I についてGIS を用いて算出した最短道程および時間的最短道程に基づき検証を行い,以下の知見を得た。なお,茨城県について3 箇所の収集拠点を仮定してGIS により検討した。
最短道程は直線距離の1.2 倍程度,時間的最短道程は1.25 ~ 1.35 倍程度であることが認められた。
試算法I に基づく平均輸送距離は,収集量50 kt では, 最短道程の85 ~ 115%,時間的最短道程の92 ~ 127%,100 kt では88 ~ 148%および94 ~ 163%,200 kt では107 ~ 173%および118 ~ 188%とGIS に基づく平均道程との乖離があり,平均輸送距離を平均道程として用いることは不適当であった。
試算法I に基づき50 kt の稲わら収集のために輸送用燃料とトラックを準備した場合,GIS により算定された最短道程および時間的最短道程を経路とした際に収集可能な稲わらの量は,最短道程では計画の91.7 ~ 106.5%,時間的最短道程では計画の86.9 ~ 103.4%と収集量のばらつきが認められた。
以上より,試算法I に基づいた平均輸送距離,輸送用燃料必要量およびトラック必要台数は,過小な見積であることに留意する必要がある。