日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
培養尿管芽細胞周期的伸展刺激によるp38MAPキナーゼの活性化
藤田 尚代長田 道夫金本 勝義福田 恵一大森 さゆ飛騨 麻里子粟津 緑
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2003 年 16 巻 1 号 p. 29-34

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抄録
 多嚢胞性異形成腎の嚢胞,異形成上皮ではp38MAPキナーゼ(p38)の発現・活性が増加している。また異形成腎には尿路閉塞が高率に合併する。本研究は尿路閉塞の流体力学的変化を尿管芽細胞周期的伸展によりin vitroで再現し,p38活性および異形成上皮に特徴的な細胞増殖,Pax2,TGF-β1発現への影響を検討した。p38は周期的伸展により時間依存性に活性化された。BrdU取込みは24時間伸展で有意に増加したが、p38阻害剤SB203580存在下では抑制された。Pax2蛋白発現も時間依存性に増加したが,p38阻害により対照と同レベルに抑制された。培養上清TGF-β1蛋白は24時間周期的伸展では変化せず,p38阻害にも影響されなかった。以上,周期的伸展は尿管芽細胞においてp38活性化を介した細胞増殖およびPax2発現を誘導した。p38の活性化が胎児期尿路閉塞による嚢胞形成に関与する可能性が考えられる。
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© 2003 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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