2003 年 16 巻 2 号 p. 109-114
症例は2歳,男児。6カ月時,先天性白内障と診断され手術治療をうけた。精神運動発達遅滞精査で入院時,血清ALP,CKの上昇,代謝性アシドーシス,高Ca尿症,汎アミノ酸尿,低分子蛋白尿,尺骨遠位端にくる病変化を認めた。加えて99mTcDMSA腎シンチでは腎へのRIの集積は低下した。これら検査所見からLowe症候群と診断し,原因遺伝子であるOCRL-1の検索とphosphatidylinositol 4,5-bisphosphate 5-phosphatase (PIP 2 5-phosphatase) 活性を測定した。結果培養皮膚線維芽細胞での本酵素活性は感度以下でOCRL-1遺伝子のexon 15内にAからCへの1塩基置換を認め,セリンからアルギニンへのアミノ酸置換が推定された。この置換は基質結合やリン酸の加水分解に重要な役割と果たすmotif内にあり、酵素活性に大きな影響を与えると思われた。