2003 年 16 巻 2 号 p. 133-136
慢性腹膜透析中にカンジダ腹膜炎を合併し,治療に難渋した小児例を経験した。症例はcerebro-oculo-hepato-renal症候群の16歳男子。12歳から腹膜透析中であったが,接続チューブの破損が見つかり,カンジダ腹膜炎に罹患した。これに対して,透析カテーテルのさしかえや抗真菌薬の腹腔内投与を行ったが,改善と再発を2度繰り返した。症例は発達遅滞があり安静保持ができないため,カテーテル抜去と血液透析への移行を躊躇していたが,結局この方法をとることで治癒に至った。その後,カテーテルを留置して腹膜透析を再開でき,腹膜炎の再発もない。
本症例を経験して,抗真菌薬の予防投与や,カテーテル早期抜去の有効性を明らかにすることが今後の課題と考えられた。