10年以上にわたる長期の臨床経過を観察しえた日本型Dent病(J-Dent)の2男児例を報告した。Dent病を含めた欧米のCLCN5遺伝子異常症は,骨病変の発症や腎機能低下に至る可能性が強いことを特徴としているが,一方J-Dentは,欧米でのそれと比較してこれらの重篤な症状が少なく,比較的予後良好と考えられてきた。しかし,今回,我々の経験した症例のうちの1例(症例1)は,欧米型のDent病に類似した骨病変の発症や腎機能低下の経過をとりつつあり,J-Dentの臨床表現型にも多様性があることが推察された。さらに,この症例では,近位尿細管上における膜輸送蛋白であるメガリンの発現低下が認められ,このことが骨病変や高Ca尿症と関連している可能性も示唆された。