2003 年 16 巻 2 号 p. 75-81
中国四国小児腎臓病学会幹事にて1998年12月31日の時点で15歳以下の小児慢性腎不全患児の治療,生活管理,社会生活を検討した。対象症例は46例で保存期症例は16例,透析症例は22例,腎移植例8例であった。保存期症例では食事制限や運動制限に関して医師による差異が推察された。透析は腹膜透析がほとんどであり,一部に著明なiPTH高値や透析不足がみられたが、概ね良好に管理されていた。KT/Vureaは症例の半数のみに測定されていたが,今後,指標となる値を設定する必要がある。3年後には保存期16例中6例が透析,2例が腎移植を受けており,透析22症例の中8例が腎移植を受けていた。積極的に腎移植がおこなわれていると推察されるが,10例中2例に腎機能低下がみられた。透析22例中2例が死亡していた。慢性腎不全患児の社会生活は概ね良好であったが,心理的な問題点に関しては今後の詳細な検討が必要である。