抄録
特発性ネフローゼ症候群に対するISKDCによるステロイド初回寛解療法の効果につき検討した。過去8年間に19例の特発性ネフローゼ症候群に対しISKDCに準じた方法で初回ステロイド療法を行った。このうち最近経験した4例全員がPrednisolone 2mg/kg/日,4週,引き続く1.3mg/kg/2日の治療に対し,隔日投与中に再発した。4例のうち3例が幼児例であり,ステロイドに対する反応が不良で,尿蛋白陰性化までに長期間を要した。また,ネフローゼ症候群の進行が急激で,消化管の浮腫によると思われる下痢,嘔吐などが認められ,経口投与では改善がみられず,経静脈的投与が必要であった。全例で再発後ステロイドを増量し,寛解が得られ,隔日投与にする段階でシクロスポリンを併用した。以後ステロイドを減量中止し,シクロスポリン単独で寛解が維持されている。ステロイド依存傾向の症例をどのように治療すべきか,今後検討していく必要がある。