抄録
ネフローゼ症候群などの小児の腎疾患によく使用される免疫抑制剤であるミゾリビンの投与量と血中濃度の間には強い相関がない。そのことから,ミゾリビンのbio-availabilityに個体差があることが予測できた。また,ミゾリビンは腸管で吸収されすべて代謝を受けず腎臓から排泄されることから尿中排泄量が腸管吸収量に等しいと考えられる。そこで,ミゾリビンの血中濃度および尿中排泄量を検討したところ,血中濃度と尿中排泄量に強い正の相関が見られること,小児の腸管吸収率が成人より低い可能性があること,年齢と尿中排泄率,つまり腸管吸収率の間に正の相関があることが判明した。ミゾリビンのbio-availabilityに個体差がある原因の1つが年齢要因であると考えられ,低年齢児において十分な血中濃度を得るためには高用量のミゾリビン投与が必要であると思われた。