抄録
目的: 新しい糸球体濾過率 (GFR) の指標としてのCys-Cの有用性を検討した。
対象: シスタチンC (Cys-C)・血清クレアチニン (S-Cr)・クレアチニンクリアランス (CCr) を同時に測定した43名を対象とした (男性21名,女性22名,年齢1~19歳,平均年齢10.3±3.78歳,平均±標準偏差)。
結果: 全患者を対象としたCCrとCys-CまたはS-Crとの相関関係は両者とも同等のよい相関関係が得られたが,腎機能低下患者のみを抽出したところ,CCrとCys-Cとの相関関係はCCrとS-Crよりも良い相関関係が得られた。また,S-Crは年齢とともに上昇するのに対しCys-Cは年齢に関わらずほぼ一定の値をとっていた。さらに,Cys-Cを基に計算した推定GFRは,CCrやSchwartzの式より軽微な腎機能障害を検出できると考えられた。
【結論】Cys-Cは今までの腎機能マーカーと比較し,より正確に腎機能を評価することができると考えられた。