日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
乳糜血尿の原因が二次性V型高脂血症と考えられた症例
高田 彰石川 健斉藤 雅彦相馬 洋紀千田 勝一池田 康行
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2008 年 21 巻 1 号 p. 61-64

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抄録
 5歳の女児が赤色尿を訴え,蛋白尿,血尿,および乳糜血清もみられたため紹介された。尿は赤白色に混濁し,尿蛋白2+,尿糖3+,尿潜血3+,ケトン体2+で,沈渣では変形のない赤血球と多数の脂肪球が認められたことから,乳糜血尿と診断した。血液検査では血糖430 mg/dl,HbA1C 16.9%,トリグリセリド 19,910 mg/dl,VLDL 551.6 mg/dl,アポC-II 28.6 mg/dlと高値を示し,尿中C-ペプチドが検出されず,リポプロテインリパーゼ活性,アポE遺伝子型に異常がないため,1型糖尿病と二次性V型高脂血症と診断した。リンパ管シンチグラフィでリンパ管と膀胱の異常交通を確認した。乳糜血尿は著しい高トリグリセリド血症によってリンパ液がうっ滞し,膀胱に穿破して生じたと考えられた。
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© 2008 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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