日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
糸球体charge barrier機能の再検討
齋藤 宏高橋 昌里土屋 達行長田 道夫楊 国昌根東 義明松山 健関根 孝司五十嵐 隆
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2008 年 21 巻 1 号 p. 55-59

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抄録
 近年,ネフローゼ症候群における蛋白尿の主因はスリット膜障害にあると考えられているが,その中でcharge barrier機能障害による尿蛋白出現という仮説は放置された状態である。今回われわれは,charge selectivity index (CSI)1)を用いてPodocyte病35名,慢性糸球体腎炎72名,Dent病8名のCSIを測定しcharge barrier機能の再検討を行った。また,Dent病などの近位尿細管の蛋白再吸収障害をきたす疾患を用いることにより,原尿の分析が可能であり2),そのCSIは正常糸球体のcharge selectivityを反映すると考えた。CSI (mean±SD) は,慢性糸球体腎炎群1.12±0.25,Podocyte病群0.42±0.31,Dent病0.16±0.06と有意差を認め,Dent病と比較し,他の2群ではcharge barrier機能の有意な低下が認められた。スリット膜と糸球体基底膜には機能的相互作用が存在し,Podocyte病ではスリット膜障害と同時に従来の仮説通りcharge barrier機能の低下も生じると考えられた。
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© 2008 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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