日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
学校検尿を契機に発見された若年性ネフロン癆の1例
花田 卓也林 篤河場 康郎岡田 晋一齊藤 源顕神崎 晋
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2008 年 21 巻 2 号 p. 167-171

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抄録

 症例は7歳の男児。学校検尿で尿蛋白を指摘され,精査目的で当院を受診した。高血圧,貧血,および腎機能障害があり,血尿なく蛋白尿は軽微であったが,低張尿であった。超音波検査では両腎のsizeは正常範囲だったが腎実質の輝度は上昇し,皮髄境界に数個の嚢胞が確認された。腎生検所見では大部分の糸球体が硬化し,尿細管の嚢胞状拡張など尿細管間質障害も広範囲であった。ネフロン癆による慢性腎不全と診断し,現在は腹膜透析を施行中である。問診から本児は3歳ごろから排尿回数が多かったことが判明した。本疾患の集団検尿による早期発見は困難であるが,早期診断のためには尿濃縮力障害の鑑別診断として本疾患を積極的に疑い検索することが必要である。

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© 2008 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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