無症候性尿細管性蛋白尿の経過観察中に,当初はみられなかったLowe症候群の症状である低身長,精神運動発達遅延,白内障を呈した3歳男児例を経験した。
遺伝子解析では,Dent病の主な責任遺伝子であるCLCN5遺伝子には異常を認めず,Lowe症候群の責任遺伝子であるOCRL1遺伝子にナンセンス変異を認め,Lowe症候群と診断した。
一般に無症候性尿細管性蛋白尿や高カルシウム尿症を呈している男児において,その他の腎機能障害や腎外症状を認めない場合,通常,Dent病が最も疑われる。しかし,Dent病の主な責任遺伝子であるCLCN5に変異を認めない場合,2型Dent病 (OCRL1遺伝子に変異を認めながらDent病の臨床像を呈する例) や遅発型Lowe症候群 (無症候性尿細管性蛋白尿の発見がLowe症候群の症状出現よりも早い例) の可能性を念頭において,OCRL1遺伝子解析も行うべきであると思われた。