2009 年 22 巻 2 号 p. 141-146
1992年,フランスのナンシーで開催された国際IgA腎症シンポジウムで,米国のMesteckyら1),英国スコットランドのAllenらと私たち2)の3グループがIgA腎症の病因にIgA1ヒンジ部の糖側鎖の異常の可能性をまったく別個に発想して同時に発表し,新しい研究分野としてスタートした。本稿では,われわれがこのIgA1分子の構造異常の可能性を着想した経緯とその検討経過を紹介し,このIgA1分子糖鎖異常説の現在の臨床応用の可能性も含めた進捗状況と問題点を総括する。