日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
bcl-2欠損マウスでみられる腎病変は尿管芽由来上皮のbcl-2の発現により改善する
近藤 秀治Christine M Sorenson須賀 健一松浦 里木下 ゆき子香美 祥二
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2009 年 22 巻 2 号 p. 136-140

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抄録

 胎児腎臓では,アポトーシス抑制分子bcl-2は尿管芽や集合管等に発現し成熟とともにbcl-2の発現は低下する。bcl-2欠損マウスの胎児腎臓では後腎間葉の著明なアポトーシスと尿管芽の分岐の減少により低形成腎をきたし成熟腎で腎嚢胞が形成される。bcl-2欠損マウスの尿管芽と集合管上皮に選択的にbcl-2を発現させることにより腎臓の重量や容積が増大し低形成腎は改善した。また,嚢胞形成や糸球体の肥大は軽減しネフロン数も増加した。bcl-2欠損マウスでみられる亢進したアポトーシスや細胞増殖の程度も改善した。以上から,bcl-2の尿管芽と集合管上皮への発現により,ネフロン数が増加しbcl-2欠損マウスでみられる腎低形成や嚢胞腎は部分的に改善する。

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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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