日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
腹部合併症に続けてPosterior reversible encephalopathy syndromeを発症したネフローゼ症候群の2例
長谷川 博也池住 洋平唐澤 環鈴木 俊明内山 聖
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2009 年 22 巻 2 号 p. 195-200

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抄録

 症例1は血管炎に伴う続発性ネフローゼ症候群の12歳女児。ステロイド治療に抵抗性を示し,ネフローゼ状態が持続した。小腸出血の合併に対し,入院56日目に腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した。手術翌日に高血圧と全身性けいれんを認め,その後も腹痛の増強に合わせて血圧上昇とけいれんを繰り返した。
 症例2は頻回再発型ネフローゼ症候群の9歳男児。6回目の再発時に腹膜炎を合併し,当科入院5日目に頭痛と高血圧を訴え,全身性けいれんを認めた。
 2例とも頭部MRIで後頭葉優位に病変を認め,神経学的後遺症を残さずに回復したことからPosterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) と診断した。PRES発症の危険因子とされるカルシニューリン阻害薬は未使用であったが,全身麻酔下手術,血管炎や細菌感染症が血管透過性の亢進を招き,PRES発症の誘因となった。

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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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