日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
Hyponatremic hypertensive syndromeを伴い, 入院時正常血圧であった腎血管性高血圧の3歳女児
田中 百合子大戸 佑二土屋 貴義富田 祐造吉野 篤範塩津 麻美幡谷 浩史大木 寛生西村 玄本田 雅敬永井 敏郎
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2009 年 22 巻 2 号 p. 201-206

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抄録

 Hyponatremic hypertensive syndrome (HHS) は片側腎虚血によって起こり,著明な高血圧と,低Na血症,低K血症,代謝性アルカローシス,蛋白尿,多飲多尿などをきたす病態である。患側では腎虚血によるレニン-アンジオテンシン系の亢進が,健側では過負荷による圧利尿が起こることで生じる。
 入院時,高血圧を呈さず,それ以外のHHSの検査所見と症状のみが見られた腎血管性高血圧の女児を経験したので報告する。多飲多尿を主訴に入院した当初,血圧は86/42mmHgと正常であったが,輸液で循環血漿量の不足を是正したところ,200/140mmHgと著明な高血圧が出現した。ACE-I,Ca拮抗薬で血圧が正常化すると同期し,検査所見も速やかに正常化した。画像検査で腎動脈奇形による左腎下極部の虚血が判明した。HHSを伴う腎血管性高血圧では,脱水を伴い高血圧がマスクされることもあり注意が必要である。

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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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