日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
尿よりdecoy cell・BKウイルスPCRを検出したステロイド抵抗性ネフローゼ症候群4例の検討
松村 千恵子倉山 英昭金本 勝義安齋 未知子西村 尚美北村 博司
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2011 年 24 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

 尿decoy cell・BKウイルス (BKV) PCR陽性を認めたステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 (SRNS) 4例につき,尿中decoy cell,尿・血液のBKV PCRと症状・治療との関連につき検討した。全例微小変化型で,1例初発,3例頻回再発で,decoy cell検出時,全例1~2mg/kgのプレドニゾロン (PSL) とシクロスポリン (CyA) が投与されていた。症例1,2は幼児の膀胱炎 (1例は出血性膀胱炎) で,初感染の可能性があるが,尿・血液のBKV PCR陽性期間の遷延が認められた。症例3は無症候性BKV尿排泄,症例4はdecoy cell・尿BKV PCR定量高コピー数が持続し,血液BKV PCRが一過性に陽性を呈した。BKV再活性化のリスクファクターとして,CyAトラフレベル高値 (100~150μg/l),頻回再発によるPSLの反復増量が考えられた。尿BKV PCR定量高コピー数が持続する症例においては,BKV血症さらにはBKV腎症へ進展する可能性が否定できず,慎重な経過観察が必要と考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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