1980年から2010年の30年間に,当院および国立病院機構岡山医療センターで診療を行った小児期発症ネフローゼ症候群患者258症例におけるキャリーオーバー (carry over; CO) 50症例について臨床的特徴を検討した。小児期発症のネフローゼ症候群 (nephrotic syndrome; NS) において,COする率は約20%であった。CO例の特徴として,全症例の平均年齢に比してやや低年齢発症であり,再発様式は頻回再発型が主であった。また,低年齢発症であるほど慢性化する傾向であった。NSは思春期 (12~18歳) までにステロイド治療によって完全寛解する割合が高いが,それ以降CO化しても,腎機能低下をきたす症例は極めて稀であった。また,再燃時のステロイド剤に対する反応性も良好なままであった。COの問題点として社会適応の側面も重要な課題であった。