日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
山形県における2例目の小児リポ蛋白糸球体症
橋本 多恵子豊田 健太郎荻野 大助松永 明早坂 清
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2011 年 24 巻 2 号 p. 218-223

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抄録
 リポ蛋白糸球体症 (LPG) は,APOEの遺伝子変異が主因とされる遺伝性腎疾患である。山形県で2例目の小児例を経験し治療を試みたので考察を加え報告する。
 症例は7歳女児。学校検尿で蛋白尿を指摘され,高度蛋白尿が続き腎生検を施行した。観察糸球体10個中,半数以上に糸球体毛細血管の拡張と血栓様の塞栓物質の形成を認めた。遺伝子解析によりAPOE-Sendai (Arg145Pro) 変異のヘテロ接合体によるLPGと診断した。フィブラート系の抗高脂血症薬を中心とした内服治療で尿所見が改善し経過良好である。
 本疾患は予後不良とされてきたが,近年フィブラートを中心とした抗高脂血症薬の有効性が明らかになり早期発見・早期治療が望まれる。また,LPG患者の家系内にはAPOE遺伝子変異を有していても,尿所見のない変異APOE保因者がおり,発症には他の要因の関与が示唆される。今後の病態解明への取り組みが必要である。
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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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